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「じゃあ買出し行きたい人ー」
9月。メイン行事の学園祭。
クラスの出し物は決定した。
あとは必要物品をかい出しに行く人を決めるだけ。
ちらりと視線を投げた窓の外は、もう九月だって言うのに積乱雲が聳え立っていて。
抜けるように青い空と、真っ白なそれはまだ夏を主張していた。
「めんどくせー」
「暑いのやだ」
そんな声が、あちらこちらから上がる。
もう、ホームルームの時間は15分も過ぎている。
早く決めなきゃ、部活に行けない。
拘泥した状況に眉間に皺を寄せつつ隣に目をやれば、多分私以上に不機嫌そうな顔をした水野がいて、思わず、笑ってしまいそうになる。
「じゃあ、私行きます」
笑ってる場合じゃない。
これ以上、場が長引けば、本気で部活時間が削られる。
真っ直ぐに伸びた手に、クラス中の視線が突き刺さる。
教卓の委員長が、安堵したように、笑った。
「よし。じゃあ後は男子から…」
「俺が行きます」
委員長が皆まで言う前に。
ゆるく、上げた手とは正反対の。
苛立ちが混じった声で、水野が手を上げた。
早々に決まった面倒くさい仕事に、クラス中から安堵の息が漏れ聞こえる。
全く、無責任なんだから。
「良いの?」
小声で、隣に問いかければ、相変わらず不機嫌そうに眉間に皺を寄せたまま。
「早く終わらせたいだろ」
とだけ返されて、その予想通りすぎる答えに、また、笑ってしまいそうになる。
「そうだね」
ちらりと視線を投げた窓の外は、もう九月だって言うのに積乱雲が聳え立っていて。
抜けるように青い空と、真っ白なそれはまだ夏を主張していた。
サッカーをするには、申し分ない日和だものね。
「ありがとうございました」
店員の声を、背中に聞いて。
「コレで終わりだよな」
メモを見つつ、水野が手に取ったのはペットボトルとかスプレー缶とか。
重いものが入った、買い物袋。
他の男の子みたいに、気取った、押し付けがましい優しさではなくて。
あまりにもさりげないそれは、当然のこととして、水野の中にあるんだろう。
別に、私を意識しているわけじゃ、無い。
分かっているから、嬉しいけれど、悔しい。
店を出た途端、身を包むむっとした熱気に、思わず、眉間に皺を寄せる。
「あっつ…」
隣で小さく呟いた声に、視線をやれば、陽炎に揺れるアスファルトから反射的に視線を逸らし、俯いて。
伸びた前髪が、紅茶色の瞳を、隠しこんでいた。
「ね、お釣りでジュース買おうよ」
真面目な水野が止める前に、預かった財布から、小銭を取り出して。
自動ドアの横に置かれた自販機に、放り込んだ。
「お前な…。クラスの金なんだぞ」
「私たちに押し付けたんだから手間賃貰ったっていいじゃない」
笑って言えば、水野が呆れた様に、溜息を吐く。
「シゲに似てきたんじゃないか」
その言葉が。
余りにも親しい、その呼び名が。
つきり、胸に突き刺さる。
「そうかもね」
自販機に向き直りながら笑ったのは、思い切り強がりだ。
転がり出てきたサイダーを拾い上げて。 一口、飲みながら歩き出す。(コーラを選択しなかったのは意地だ)
喉を刺激する冷たい炭酸が心地良い。
「行儀悪いぞ」
「だって暑いじゃない」
窘める様な視線を投げてくるから、悪びれず笑ってみせる。
歩くたび、制服の厚い生地のスカートが纏わりついて気持ち悪い。
「授業時間内だから」なんて理由で、制服で買出しに行かなきゃ行けないなんて理不尽だ。
見上げた空は、何処までも青く、聳え立つ積乱雲は、もう九月だというのに、かまわず夏を主張しているというのに。
ふわり、横切る赤とんぼが、何だかひどく不釣合いだった。
セーラー服の胸元をパタパタと忙しなく扇ぎながら。
ふと、あることを思いついて、半歩後の水野を振り返る。
がさり、軽い買い物袋が、音を立てた。
「飲む?」
掲げて見せるのは、サイダーのアルミ缶。
「飲む」
やはり、暑さには勝てなかったのか。
素直に差し出された水野の手と、一瞬、指先が触れ合う。
冷たい汗をかいているアルミ缶をずっと持っていた所為か、あたしの手は随分と冷たくなっていたらしく。
触れ合った水野の指先は、何だかひどく熱く感じた。
「間接キスだね」
ごくり、水野の喉が上下するのを確認して。
揶揄するように笑う居ながら言えば、盛大に吹き出してくれて。
「ば…っか…!」
咽こみながら詰る顔は、暑さの所為じゃなくて、赤い。
「ふざけんなよ」
不機嫌そうな声音で、ずいと、アルミ缶をつき返される。
怒ったように、足を速めて。
今度は水野が、半歩先を歩き出す。
紅茶色の神から除く耳が、まだ赤い。
本当に、この手の冗談を、水野は嫌う。
「別に、ふざけてないんだけどな…」
半歩先の背中に聞こえないように。
小さく呟いて、笑ってみたつもりだったけれど。
どうにも、巧く笑えなかった。
見上げた空は、何処までも青く、聳え立つ積乱雲は、もう九月だというのに、かまわず夏を主張しているというのに。
ふわり、横切る赤とんぼが、何だかひどく不釣合いだった。
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そんな訳で小島ちゃん^^
夏・セーラー服・中学生が大好きだ!!!
因みに別にシゲ水なわけではなく、あの年代の同性同士の友情の親密な友情に妬いてるだけ^^
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