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時々R‐18w
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自分でも、どうしてその人と「付き合おう」と思ったのか、よく分からない。
そもそも、付き合ってくださいといわれることは、それこそ、今まで数え切れないくらいあったけれど(厭味じゃない。事実だ)、付き合うというのがどういうことかなんて、よく、分からない。
「ねぇ」
学校からの帰り道。
不意に、彼が立ち止まるから。
私も釣られて、立ち止まる。
取り立てて目立つ容姿でもなければ、目立つ成績でもない。
部活は剣道部らしいが、まぁそこそこの成績。といったところらしい。
「なあに?」
少し見上げる彼の髪が、夕日に透けて、金色がかって見える。
強いて言うなら、彼のこの、紅茶色の色素の薄い眼と、髪が、気になったところなのかもしれない。
「キス、したいんだけど。…ほら、俺ら付き合ってるわけだし」
「…はあ」
唐突な言葉に、思わず、間が抜けた声が出る。
「付き合ってる」から「キス」しなければならないのだろうか。
横顔に当たる西日が熱い。
まだ、六月だというのに。
昨日降った雨の湿気を多量に含んで、強い日差しに蒸された空気は、暑い。
セラー服下、ちょうど胸と胸の間を、汗が伝う感触が不快だった。
ああ、早く帰って着替えたい。
「………」
私の間が抜けた返事を、勝手に了承と解釈したのか。
彼の両手が、あたしの両肩に掛かって、不意に、顔が近付いてくる。
跳ね除けることも、出来たけど。
なんとなく、どんなものか気になって。
彼の唇と、私のそれが、重なるに任せてみた。
「………」
1秒、2秒、3秒。
意外と、長いんだ。
小さい頃、戯れに兄と交わしたそれと、大差ないな。
何て思ってたら。
不意に、唇にぬらりとした感触が触れてきて。
それが彼の舌だと分かった途端、思わず、肩に置かれた手を、振り払っていた。
よろけた彼が、植え込みの紫陽花にぶつかって。
ぐしゃり、紫陽花の花が、潰れるのが見えた。
幾枚かの花弁が、黒いアスファルトに、散る。
毒々しいほどの、赤。
「何すんのよ!」
きつく、睨みつける。
彼は少し驚いたような、傷付いたような顔をしていたけれど。
足元に、散った紫陽花の花弁を、踏み躙って。
あたしは、彼に構うことなく、背を向けて走り出す。
ぐっと、手の甲で唇を拭う。
気持ち悪い。
不快に、感じている自分に気付いて。
ああやっぱり、私は彼の事が「好き」ではなかったんだと自覚した。
「ねえ水野」
休み時間。
推理小説を読み耽る横顔に、声を掛ければ、返ってくるのは生返事。
その髪は、窓から差し込む陽光に透けて、少し金色がかって見える。
綺麗な、紅茶色。
「何」
声を掛けておいて。
続く言葉が無いのを、怪訝に思ったのか、水野が、文庫本から私へと、視線を移す。
髪と同じ、紅茶色の強い瞳に、私が映る。
「昨日ね、私、キスしたの」
「…は?」
唐突な言葉に、思いきり間が抜けた顔を晒した後。
丁寧に整えられた眉が、思い切り顰められた。
その目元が、微かに赤いのは、きっとただ単に、水野がこの手の話題を苦手としていることを表しているだけで、他意はないんだろうな。
「それが俺に何の関係があるんだよ」
「うん。それでね。私、彼のこと好きじゃないんだって、気付いちゃったから」
噛みあわない返事を返しているなと、自分でも思ったけれど。
零した言葉に、水野が驚いたように、その羨ましいくらい、長い睫に縁取られた目を、見開いた。
「馬鹿じゃないのか」
「うん、そう思う」
こくんと頷けば、水野は呆れたような表情を浮かべて、また、文庫本に視線を落とした。
「…そういうのって、好きな奴とするんじゃねぇのかよ」
「よく分かんないけど」と、前置きして言われた言葉に、ああやっぱりそうあんんだろうなあと、思う。
「うん、そうだと思う」
じっとりと、木目にまで湿り気を帯びた机に頬杖をつきながら、頷く。
今日も、暑くなるんだろうか。
「水野も、するなら、好きな人と、したい?」
「…そりゃそうだろ」
ああ本当にこの手の話題は苦手なんだ。
いっそ冷たいと思うほど、口調は早口でそっけないものになってる。
目元も、さっきよりも少し、赤い。
「そう、だよね」
なんとなく、心臓の辺りが痛い。
少し、息が苦しいような心地さえ、する。
「何だよさっきから」
「ううん。何でもない」
身体を真正面に向けて、視線を逸らす。
じっとりと湿り気を帯びた机に、突っ伏する。
誰かがカーテンを引いたんだろう。
周りの空気が、翳る。
水野が文庫本を捲る、乾いた音だけ、やけに鮮明に、耳に届く。
休み時間の教室なんて、この上なく騒がしいというのに。
「………」
ぎゅっと、セーラー服の胸元を、握り締める。
ねえ水野。
私さ、本当にキスしたい人、誰か分かった。
そでも、この想いは絶対に唇に乗せることはない。
だって私は知っているもの。
好意を持っていない相手からの「付き合ってください」が、どれほど煩わしいものかを。
「………」
思い出すのは、昨日の不快な、あの感触。
水野に、こんな思いをされるのは、嫌だった。
だから、言わない。
昼休みが来たら、三年生のフロアに行こう。
紅茶色の髪が、隣の奴を思い出させるから、何となく、OKしてしまったけれど。
当たり前に、彼と奴とは、別人だから。
私は彼を、「好き」じゃあ、無かった。
そして、昨日のことを、彼に謝ろう。
そして、…言おう。好きじゃないって。
好きな人に、好きなフリをされるほうが、きっと、辛い。
だって私は水野に、そんな真似されたら、きっと泣いてしまうもの。
誰かが、廊下の窓も開けたらしい。
教室に一気に、風が通る。
膨らんだカーテンが、一瞬、頬を撫でた。
その、オフホワイトに区切られた世界で。
満ちる陽光に、水野の紅茶色の髪は、金色の光に、縁取られていて。
ああ、綺麗なだなと、見とれてしまった。
ねぇ水野。
あんたが好きになる人って、どんな子なんだろうね。
―――――――――
小島ちゃんの初は絶対に保育園の頃お兄ちゃんとに一票(笑
笛はやっぱり基本フォモが好きですが(…)NLなら小島×水野が好きです。
NLでも水野受けwww
夏・中学生・セーラー・恋
凄くすきです(…
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