日記 守狐誕生秘話その12 忍者ブログ
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 御坊から教えてもらったとおり。
 承香殿の女御殿は、帝の子を、身篭っていた。
 当然、そこには様々な、人の欲が、渦巻いていて。 
 なるほど此れは確かに、比干でなくとも、付け入る者は多いだろうと、守狐は思う。

 女御に仕える女房に取り入ることなど、守狐には容易いことで。
 枕語りに、様々なことを、教えてくれた。
 
『この間不思議な貢物が…厄災避けだとか言って、狐の皮を持ってきたの。白金色の綺麗な毛皮だった…。夫婦の狐だから、縁起が良いと言っていたわ。…献上された女御様は、とても喜んでいたけれど…』

 それは人間の男が、女御に送ったものだと言う。
 白金色の狐など、野狐であるわけがない。
 比干はまだ、妖を殺し続けている。
 それも、最も惨い方法で。

『それを、送ったのは誰…?』

 教えて貰った男の屋敷を訪ねれば、そこには邪気の名残が、色濃く立ち込めていて。

 どくり、両の眼が、疼いた。

―近い…―

 間違いないと、思う。
 ぎりと、拳を握り締めれば、掌を爪が刺す。
 滴る赤も、気にならなくて。
 夜の闇に、守狐の黄金色の瞳が、光る。
 気を、尖らせれば、闇夜に浮かぶ、邪気の跡。
 間違い無いと、確信する。
 比干はいるのだ。
 すぐ、近くに。

「―――!」

 狐の名残の、真白い耳が、ぴくり、跳ねる。
 その耳が捉えたのは、確かに、悲鳴。
 それも、幼い仔狐特有の、甲高い声だった。
 思い出すのは、女房の言葉。
 夫婦の毛皮と、言っていた。
 ならば、その仔がいても、おかしくは無い。
 視線を巡らせれば、遠くの山に、僅かに、妖光が、見える。
 妖が術を用いる時に放つ、その光が、何度か瞬いていた。

「逃がさぬ…」

 呟きだけが、その場に残り。
 真白い風が、闇を駆けた。





―――――――


あとちょっとー!!!



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