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時々R‐18w
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「この大馬鹿者っ!!」
洞門を潜った途端、浴びせかけられた怒鳴り声に、守狐は思わず、身を竦ませる。
案の定、眉を怒らせて立っていた万治郎に、疲れたように笑う。
「兄様、お説教ならまた後で…」
言いかけた言葉が、宙に浮く。
唐突に、抱きすくめられて。
守狐は僅か、眼を見開く。
「お前は大馬鹿者だ!子供が無理をするんじゃあない!」
「兄様…?」
肩を抱く腕が、震えていて。
そっと、顔を覗き込もうとしても、きつく抱きすくめられていて、叶わない。
「何故黙っていた。何故何も言わぬ」
搾り出すような、万治郎の声が、胸に刺さる。
ずっと、心配してくれいたのだ。
誰より、守狐の近くに、いてくれていたのだから。
その異変に、気付かぬわけがない。
「兄様……」
全てを、知ってしまったのかと、守狐の瞳が、哀しげに笑う。
万治郎だけには、知られたくなかったと、思う。
どす黒く、恨みにかられた己など。
「来いっ!」
不意に、腕をとられて。
万治郎の部屋に、引き込まれる。
そのまま寝台に投げ出されて。
守狐は驚いたように、万治郎を見上げた。
「あに、さま…?」
声が、掠れた。
真逆、と思う。
思い出すのは、身体を重ねた妖たち。
褥に入ってきた万治郎に、きつく抱きすくめられて。
守狐は全身を、強張らせた。
「甘えろ」
「……え?」
唐突な言葉に、思考がついていかなくて。
間が抜けた疑問符と共に、万治郎を見上げれば、強い光を宿した、充血した赤い目と、視線がぶつかる。
「子供が辛い思いをした時は、親兄弟に甘えるものだ」
「………」
声は、酷く憮然としていて、まるで怒っている風なのに。
その言葉は、この上ない優しさに満ちていて。
思わず、笑みが零れていた。
幼い頃から。
誰より近くで、誰より長く。
ずっと、自分を包んでくれていた、優しさ。
思い出す。
何か悲しいことがあると、必ず、万治郎の褥に潜り込んでいたのは、自分ではないか。
その優しい手に、甘えていたのは、幼い頃の守狐自身。
俯いて、吐き出した息が、震える。
知らず、手指が万治郎の着物を、握っていた。
「甘えて、泣けばいい。…私が弟と思うのはお前だけなのだから」
「…兄様だって、さっき泣いていたくせに」
揶揄するような憎まれ口に、かっと、万治郎の耳が赤く染まる。
睨みつけようとした、守狐の頬が、濡れていて。
万治郎は再び、きつく、まだ幼いその骨身がちな身体を、抱きすくめた。
「大馬鹿者だ。お前は」
「…はい」
「まだ子供なんだ」
「ええ」
「無茶をするなと言ってもするんだろう」
「………」
「もう諦めておるわ」
「…あに…」
「でも、」
不意に、言葉を遮られて。
顔を上げれば、至近距離で、視線がぶつかる。
「帰って来い。必ず」
くしゃり、万治郎の指が、守狐の髪を、掻き乱す。
親も無く、寂しさで泣いた夜。
仔狐仲間に、黄金色の目が怖いと、仲間外れにされた時。
いつだって、自分を慰めてくれていた、手。
「お前にはこの兄様がついている」
憮然とした表情で。
けれど、酷く優しく。
撫でてくれる、温かい、手。
「はい…」
ぼろり、涙が伝う。
怒りも、悲しみも。
荒んでいた思いも。
去来していた虚無さえ、全てが、流れ、溶け消えていく。
その夜。
幼い頃と何一つ変わらず。
寝付くまでずっと、頭を撫でてくれていた手の優しさを、守狐は覚えていた。
――――――
終わったー!!!!
此処までお付き合い下さった方、ありがとうございました^^
いやあホント矛盾だらけwww
何がしたかったって守さんに疾!をさせたかったwww
守さんに優しい気持ちを教えてくれたのは万治郎あにさんだと言うことを最後に入れたかったんだがやや不完全燃焼www
因みにフォモじゃあありません(笑)
扱いが酷い?それは愛情の裏返しというものですよ兄様(by守狐)
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