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時々R‐18w
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最近、守狐は傍目にも鬼気迫るものを感じるほどに、修行に打ち込でいる。
寝食を忘れて、打ち込む姿に。
ただでさえ、線の細い身体が、日ごと夜毎に、やつれていく気がして。
万治郎は胸に不安を、抱かずにはいられなかった。
「師弟、お前何があったのだ。…修行に打ち込むのはいいが、きちんと寝てるのか。飯は…」
「さあ?」
皆まで、言い終わる前に。
艶然と、笑う唇に、言葉を遮られる。
やつれた頬が、一層、危うい色香を放っている気がして。
万治郎は思わず、押し黙る。
けれど、その横顔に、確かに自嘲的な色が滲んでいるのにも、気付いていて。
―子供がする顔じゃないだろう…―
以前から、どこか艶めいた雰囲気を持ち合わせていたけれど。
それでも、自分に向けられるのはまだ少年らしさが残る、無邪気なものだったのに。
態と、色香を孕んだ笑みで誤魔化して。
確かに、笑みを向けているのに、決して、自分と視線を合わそうとはしない。
最近、いつも何か物思いにふけっていて。
声を掛けても、返事はおろか、気付いていないことさえ多々あった。
珍しく人界に下りたと思ったら、変化の解けた姿で、皮衣に抱えられ、運び込まれてきて。
それから、二人、霊穴の間に篭り、出てきたと思ったら、もう、この状態だった。
一体何があったのか。
師に問い詰めても、曖昧に笑うだけで、答え様とはしてくれなくて。
ただ、「あの仔の傍に、ついてやっておくれ」と、言われただけだった。
「師弟…?」
かたり、物音を聞いた気がして。
夜半、起き出してみれば、守狐の寝床は、もぬけの殻。
またかと、内心、溜息を吐く。
此処のところいつも、万治郎が寝付いたのを見計らったように、守狐はどこぞへ出かけていく。
気配を探っても、近くには感じないから。
皮衣のいる、人界にでも降りているのだろうか。
もう、万治郎の後をついてきた、幼子では無いのだから。
もしかしたら、馴染みの女のところにでも、通っているのかも知れぬ。
だから、心配することは、無いのかも知れぬ。
それでも。
「心配するだろう。…私が弟と思うのは、お前だけなのだぞ…」
ぽつり、呟いた声は、誰に受け止められることなく、薄暗い洞府の廊下に、溶け消えた。
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