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時々R‐18w
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「比干……」
呟くように、唇から零れていた名に、己の、その声に。
守狐ははっと、瞳を開く。
見回せば、そこはいつの間にか、いつもの洞府の内で。
霊穴の間に、寝かされていた。
悪い夢かと、思ったけれど。
「気が、付いたかい?」
振り返れば、皮衣が立っていて。
その、何処か哀しげな微笑に、やはり、現のことだったのかと、認識する。
起き上がろうとすれば、総身に走る痛みに、思わず呻く。
その肩を、そっと、皮衣の手が、押さえ込んだ。
「無茶をしてはいけないよ。…お前の身体は、相当な無理をしたんだから」
だから、霊穴で身体を癒せと、皮衣は言う。
その手がひどく優しい仕草で、守狐の真白い毛並みを梳いた。
「皮衣様、あれは…父様は…」
脳裏に焼きついて離れない、父の躯。
また、両の眼が熱く疼く。
皮衣は一瞬、守狐の眼を見つめ。
ぽつり、ぽつりと言葉を零す。
「お前の父様はね…裏切り者と戦って死んだのは、知ってるね?」
こくり、頷く。
あの、消えていった躯が、その裏切り者なのだろう。
修行で得た天精地霊を失い、野狐同然の狐臭を放つ。
堕ちた妖狐の気配を思い出し、守狐はそっと、眉根を寄せる。
「何故、我が一族から裏切り者が出たのか。私も、お前の父様さえ、分からなかった」
「……真逆…誰かが糸を引いていいた…?」
齢千年を有に越す妖狐を、誰が操ると言うのか。
「其れが…其奴が…?」
声が、震える。
裏切り者と、父を戦わせ、力を使い果たしたところに、あのような惨い仕打ちを仕掛けたというのか。
皮衣が宥めるようにそっと、守狐の毛並みを梳きながら。
こくりと、その細い首を、縦に振った。
「お前も聞いたね?…比干」
「人でも、妖でも無い。と…」
父の、最期の声は、言っていた。
「人、だったのよ」
「…人だった?」
ならば、己の負の感情に飲み込まれた鬼女の類かと問えば、皮衣はゆるく、首を振る。
「そればらば…楽だったのだけれど…」
曰く、鬼女の類であれば、鬼になったとは言え、肉体は人。
当然寿命が来れば土に還り、いずれは残った怨念も霧散する。
けれど、比干は肉体すら、人のものでは無いと言う。
この世の全てを、手中に収めたいと願った人が、己の欲を満たすために、人であることを捨てたのだ。
「人ならば、いずれ寿命が来る…だから、憎い…我ら妖狐に、あのような…あのような屈辱を味あわせた比干が、心底憎かったけれど……」
ぎゅっと、組んだ皮衣の手は、震えていた。
きつく、両の瞼を閉じて。
皮衣は一つ、己を落ち着かせるように、深く息を吸うと、ゆるく、頭を振った。
「お前の母様が…命を賭して、お前を生んだ。…仇を討つことよりも、新しい命を守り育てることを選んだのだから、それで良いと思った」
事実、守狐が生まれる頃には、皆、比干は死んだものと、思っていたと言う。
「けれど、生きていた…」
零れるように漏れた、守狐の言葉に、皮衣が小さく、首を縦に振る。
そう言うことなのだろう。
だから、皮衣は人の世に降りた。
比干を、父の仇を、探す為に。
「比干は、数百年の時を生き…妖の肉を喰らい、人の生き血を啜り、今、かなりの力を、蓄えていると…妖たちの噂で聞いたの」
妖だけでない。
人にまで、害を及ぼしている。
不老不死の肉体を得、人や妖をも超える力を、手に入れようとしている。
「葬らねば…ならないのよ。…見つけ出して、葬らねば…」
人に混じり、その姿を隠している比干を見つけ出し、葬る。
そうでなければ、妖と人、両方が、比干の欲に、飲まれてしまうかも知れぬと、皮衣は言う。
「皮衣様」
石の寝台の上。
ゆっくりと、身を起こすと、守狐は真っ直ぐに、師を見上げる。
本人は、気付いていなかったけれど。
燃えるような紅蓮の色を映していた瞳は、今はただ、黄金色の強い光を、宿していて。
かつての、守狐の父の姿が重なり、皮衣は僅か、息を呑む。
「その役目…私に」
強い、強い黄金色の眼に、見上げられて。
皮衣は静かに、瞳を伏せる。
こうなることが分かっていたから。
真実を、告げたくはなかったのだけれど。
何も知らず、幸せにと、願っていたのに。
「これが…お前の天数ならば…」
逆らうことは、できないのだろう。
呟いた皮衣に、守狐は静かに、頭を下げた。
―――――――――
名前丸パクリ\(^p^)/
でも比干って狐からしたらもう恨みの対象でしかないんじゃないかな(笑)
大量の狐を焼き殺してコートにしちゃうんだからっっ!><
だっきちゃんもキレるわwww
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