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時々R‐18w
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陽炎が揺れている。
蝉の声を何処か遠くで聞きながら、嗚呼きっと今日も暑くなるんだろうなと、屏風のぞきは何処かぼんやりとした頭で考える。
守狐は大丈夫だろうか。
暑さに弱い彼は、確か昨日もぐったりとばてていたように思う。
今日もきっと来るだろうから、抱上げてやろう。
最近…あの火事から守狐は長崎屋にいる時間が長くなった(皮衣様の気遣いだろうと屏風のぞきは思う)
「おい」
不意に、呼びかけられて。
ぼんやりと顔を上げれば、じっと、此方を見つめる佐助の顔が合って、僅かばかり驚く。
「何だい?」
煤けた本体に寄りかかりながら小首を傾げれば、一瞬、佐助が母屋の方を見遣る。
つられたように、屏風のぞきの視線もそちらに流れた。
父親に呼ばれた、離れの主が居る方向を。
「…諦めろといっても聞かぬ子だね…」
言いながら、力なく笑う。
大方、先日頼み込んでいた表具師の話だろう。
煤け破れ壊れた本体は、きっともう元には戻らない。
だからもう、自分は長くない。
「…屏風のぞき」
「だからさっきから何なんだい?」
こちらに向き直った顔は、怖いほど真剣で。
じっと、見つめる瞳は、強い光を宿したまま。
逸らすことなく、一息に告げられた。
「あたしが楽にしてやろうか」
思わず、目を見開く。
先のように戯れに脅しつけられる言葉ではないことぐらい、その眼を見れば分かる。
本気で、言っているのだ。
この大妖は。
「そんなことしたら、あんたが若だんなに恨まれるよ」
知らず、詰めてしまった息を吐きながら言う言葉は、別に消えかけのこの命が惜しいからじゃない。
「別に構わないさ」
軽い口調で言うけれど、相変わらずその瞳は怖いほどに真剣で。
嗚呼成る程この大妖は大妖なりに、あたしを仲間と認めてくれているんだと、屏風のぞきは悟る。
「あたしなら、痛みも苦しみも無く楽にしてやれる」
不遜げに聞こえるその言葉は、けれど、過不足なく己が力を知っている証でもある。
きっと、日に日に命の灯が小さく細くなっていく己を見かねた、佐助なりのこの上ない優しさなんだろう。
事実、日毎に身体は辛くなっている。
屏風から抜け出すのも億劫なほどだ。
けれど、それでも出てくるのは、もしかしたら明日にはもう、自分はただの屏風絵に戻ってしまって、二度と外には出れぬかも知れぬと、何処か恐怖にも似た感情があるからで。
奥底に秘めたその恐怖心すら、見抜いているのだろう。この大妖は。
だから、大事な若だんなに恨まれるようなことになっても、楽にしてやろうと、言ってくれたのだろう。
苦しみも怖れも、痛みも無く、唯、楽に、と。
「ありがたい申し出だけどね。お断りするよ」
ゆるく笑って、首を振れば、佐助の瞳からふ、と、力が抜ける。
「そうか」
「ああ。あの子はまだ、受け入れる準備が整っちゃ居ない。…それができるまで、あたしがいなくなっても、あの子が笑えるような、新しい縁を結ぶまでは、あたしは此処にいなくちゃいけないんだ」
言い切れば、佐助が小さく、笑みを零す。
その瞳は穏やかに優しい色を浮かべていて。
「そうか」
と、小さく頷いた。
思えばこれほど真っ直ぐに己を見つめてきたのは、守狐以外、佐助が唯一人なんじゃないかと、屏風のぞきはふと気付く。
一太郎は弱り細る屏風のぞきを見るのが辛いと言うように、いつもそっと、視線を逸らす。
あの仁吉すら、あの火事以来まともに屏風のぞきを見たためしがなかった。
皆、避けている。
屏風のぞきを、その背後に待つ死を、避けていた。
「今日も暑くなりそうだな」
零すように呟いて。
眩しげに庭を見遣るその精悍な横顔を見上げながら。
真実、大妖と呼ぶに相応しいのは、きっとこの長崎屋ではこいつだけなんだと、屏風のぞきは思う。
「佐助」
「うん?」
呼べばはっきりと、視線が絡む。
「仁吉さんにあんたは勿体無いよ」
揶揄する様に笑えば、かっと、その目元に朱が走る。
「馬鹿なこと言ってんじゃない」
軽く、後頭を叩いてくる手は、大きく、温かい。
屏風のぞきは、声を立てて、笑った。
――――――――
仁吉さん立場無いwww
佐助さんはどこまでも漢前。
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「やっぱり私は白沢様が良いなぁ」
「確かに一等綺麗なお顔だけれど、冷たい感じがして私はいやー。やっぱりいつも遊んでくれる犬神さんが良い。」
「背も高くて男らしくて素敵よねー!」
「私は、優しい守の兄様が良いなぁ…」
「守の兄様は確かに優しいけれど、目が細いし色白でひょろひょろしてて私はいや!やっぱり犬神さんよ!」
「確かにアンタは守の兄様の横に並んだら、余計太く見えるものね」
「女狐として少しは痩せた方が良いわよ」
「なによぅ」
「でもいくら格好良くっても…」
「「「万治郎様だけはいや」」」
女の子はどこの世界でもおませさん^^
「確かに一等綺麗なお顔だけれど、冷たい感じがして私はいやー。やっぱりいつも遊んでくれる犬神さんが良い。」
「背も高くて男らしくて素敵よねー!」
「私は、優しい守の兄様が良いなぁ…」
「守の兄様は確かに優しいけれど、目が細いし色白でひょろひょろしてて私はいや!やっぱり犬神さんよ!」
「確かにアンタは守の兄様の横に並んだら、余計太く見えるものね」
「女狐として少しは痩せた方が良いわよ」
「なによぅ」
「でもいくら格好良くっても…」
「「「万治郎様だけはいや」」」
女の子はどこの世界でもおませさん^^
収まりがいいと言うか。
掌に受け止める感覚が、心地良いというか。
詰まる所、妙に落ち着く心地がして、つい、手を伸ばしてしまう。
(頭の形が、若だんなに似てるんだろうか…)
ふわふわと、掌に収まるのを撫でながら、つらつらと考えてみたりする。
髪の質が、似ているのだろうか。
「あの……」
戸惑いかちに声を掛けられて。
困ったように眉尻を下げて、自分を見あげてくる瞳に、はたと、我に返る。
「ああ、すみません。…つい、撫でたくなってしまうんですよ」
苦笑いで、撫でていた頭から手を退ければ、松之助は一瞬、驚いた様に目を見開いた後。
気恥ずかしそうに、視線を伏せる。
その様子に、傍から見ていた人足たちから、笑みが零れた。
「松はなんか犬っぽいから、撫でたくなるんだろうよ」
「な…っ!」
揶揄する様に笑われ、松之助の頬に、朱が走る。
何事か言い返すのを、笑いながら見つめつつ。
そう言えば、松之助の眼は、どこか仔犬を思わせるなと、ふと、思う。
「ああ、確かにそうかもしれない」
「さ、佐助さんまで。…もう、揶揄うのは止して下さい」
赤い顔のまま。
困りきったように、眉尻を下げるのに、すまないと苦笑しながら。
「―――-っ」
ふわふわと。
また、無意識に松之助の頭を撫でる佐助に、人足たちが、声を立てて笑った。
どうして泣き出しそうなほど、松之助の頬が朱かったのか。
どうして、無意識に手を伸ばしてしまうのか。
その訳に佐助が気付くのは、まだもう少し、先だった。
――――――
久しぶりに書いたら随分なザマだった^p^
掌に受け止める感覚が、心地良いというか。
詰まる所、妙に落ち着く心地がして、つい、手を伸ばしてしまう。
(頭の形が、若だんなに似てるんだろうか…)
ふわふわと、掌に収まるのを撫でながら、つらつらと考えてみたりする。
髪の質が、似ているのだろうか。
「あの……」
戸惑いかちに声を掛けられて。
困ったように眉尻を下げて、自分を見あげてくる瞳に、はたと、我に返る。
「ああ、すみません。…つい、撫でたくなってしまうんですよ」
苦笑いで、撫でていた頭から手を退ければ、松之助は一瞬、驚いた様に目を見開いた後。
気恥ずかしそうに、視線を伏せる。
その様子に、傍から見ていた人足たちから、笑みが零れた。
「松はなんか犬っぽいから、撫でたくなるんだろうよ」
「な…っ!」
揶揄する様に笑われ、松之助の頬に、朱が走る。
何事か言い返すのを、笑いながら見つめつつ。
そう言えば、松之助の眼は、どこか仔犬を思わせるなと、ふと、思う。
「ああ、確かにそうかもしれない」
「さ、佐助さんまで。…もう、揶揄うのは止して下さい」
赤い顔のまま。
困りきったように、眉尻を下げるのに、すまないと苦笑しながら。
「―――-っ」
ふわふわと。
また、無意識に松之助の頭を撫でる佐助に、人足たちが、声を立てて笑った。
どうして泣き出しそうなほど、松之助の頬が朱かったのか。
どうして、無意識に手を伸ばしてしまうのか。
その訳に佐助が気付くのは、まだもう少し、先だった。
――――――
久しぶりに書いたら随分なザマだった^p^
「おやつを食べおわった子から、お外に行ってもいいですよー」
せんせいがそういって、お教室のがらすのとびらを、がらがらとあけます。
みんなはもう、おやつを食べおわっていましたから。
わーって、げんきよく、お外にとびだしていきます。
一太郎くんは、まいにち、このじかんがゆううつです。
だって、一太郎くんはからだがとってもよわいから、おそとであそべないんですもの。
「あ……!」
しかも、きょうはいつもいっしょにいてくれる、まつのすけくんまで、てててっと、とびらのほうにはしっていくではありませんか。
おいてけぼりで、さびしくって。
いちたろうくんは、ちょっぴり、泣きだしそうです。
でも、ないたら、松之助くんがしんぱいしてもどってきてしまうので、泣けません。
だいすきなお兄ちゃんを、しんぱいさせたくないのです。
だから、だから、ぎゅーっと、みずいろのスモックの裾を、にぎりしめます。
がまんするのは、とくいです。
「いち、これよもう?」
いきなり、めのまえに えほんを さしだされて。
一太郎くんは大きなお目めを、もっとおおきく、みひらきました。
だって、松之助くんはお外にいっちゃったと、おもってたんですもの。
「みんな、おそとにいったんだね。ぼく、このえほんとられちゃうのかとおもって、びっくりしちゃった」
えへへって、松之助くんは、ちょっぴり恥ずかしそうにわらいます。
一太郎くんは、松之助くんが帰ってきてくれたことがうれしくて、うれしくて。
おもわず、おくびにぎゅーっとしがみついてしまいました。
「一太郎?どうしたの?えほん、よまないの?」
そんな一太郎くんに、ふしぎそうにおくびをかしげながら。
松之助くんはなんども、一太郎くんのあたまを、よしよしって、してあげていました。
みんなが、おそとであそぶ、ひるさがり。
お教室では、松之助くんが、じょうずに えほんを よんでくれる こえが、とってもやさしく、ひびいていました。
―――――――――――
久しぶりに書いたら感覚を忘れていたという罠。
せんせいがそういって、お教室のがらすのとびらを、がらがらとあけます。
みんなはもう、おやつを食べおわっていましたから。
わーって、げんきよく、お外にとびだしていきます。
一太郎くんは、まいにち、このじかんがゆううつです。
だって、一太郎くんはからだがとってもよわいから、おそとであそべないんですもの。
「あ……!」
しかも、きょうはいつもいっしょにいてくれる、まつのすけくんまで、てててっと、とびらのほうにはしっていくではありませんか。
おいてけぼりで、さびしくって。
いちたろうくんは、ちょっぴり、泣きだしそうです。
でも、ないたら、松之助くんがしんぱいしてもどってきてしまうので、泣けません。
だいすきなお兄ちゃんを、しんぱいさせたくないのです。
だから、だから、ぎゅーっと、みずいろのスモックの裾を、にぎりしめます。
がまんするのは、とくいです。
「いち、これよもう?」
いきなり、めのまえに えほんを さしだされて。
一太郎くんは大きなお目めを、もっとおおきく、みひらきました。
だって、松之助くんはお外にいっちゃったと、おもってたんですもの。
「みんな、おそとにいったんだね。ぼく、このえほんとられちゃうのかとおもって、びっくりしちゃった」
えへへって、松之助くんは、ちょっぴり恥ずかしそうにわらいます。
一太郎くんは、松之助くんが帰ってきてくれたことがうれしくて、うれしくて。
おもわず、おくびにぎゅーっとしがみついてしまいました。
「一太郎?どうしたの?えほん、よまないの?」
そんな一太郎くんに、ふしぎそうにおくびをかしげながら。
松之助くんはなんども、一太郎くんのあたまを、よしよしって、してあげていました。
みんなが、おそとであそぶ、ひるさがり。
お教室では、松之助くんが、じょうずに えほんを よんでくれる こえが、とってもやさしく、ひびいていました。
―――――――――――
久しぶりに書いたら感覚を忘れていたという罠。
「良かったですね。松之助さん」
「…ありがとうございます」
事態は無事、収束して。
皆で帰る道すがら、声を掛ければ、松之助が、照れたように、笑う。
薄い薄い、家族との縁が、結ばれたような。
温かな心持に、松之助の口元に、自然、笑みが浮かんだ。
「若だんなも、ありがとうございました」
「…うん」
笑い顔のまま、礼を言えば、一太郎はふいと、視線を逸らしたまま、小さく頷くだけで。
やはり、身体の調子を崩してしまったのかと、佐助と二人、心配に眉根を寄せる。
「若だんな?」
「兄さん、話があるから、少し部屋によってくれるかな?」
覗き込めば有無を言わさず、手を取られて。
部屋に引き込まれ、暇を告げる佐助に、苦笑いで見送られた。
「若だんな、どうしたんですか?お加減でも…」
「どうして兄さんは私に何も言ってくれなかったの」
遮る声は、苛立ちを含んでいて。
一瞬、松之助は言葉に詰まる。
「それは…若だんなにはご迷惑をかけるわけには…」
予想通りの応えに、きゅっと、膝の上で握り締めた拳が、震える。
「言ってくれればいいじゃないっ!私たちだって…兄弟、でしょう?」
さっき、松之助は「兄弟なんだから」と、林太郎に言った。
その言葉が、ずきり、一太郎の胸を刺したことを、松之助は知らない。
「それは…」
言いよどむ松之助の、揺らぐ瞳に、一層、不安になる。
こんな風に、詰るような真似で、松之助を困らせる事しか出来ない己に、苛立つ。
「どうして言ってくれないの?…私がそんなに、頼りない?」
零れた声は、自分でも驚くほど、弱々しくて。
見上げた松之助の眼が、揺れた。
「そんなこと、無い」
「じゃあ…」
くいと、手を引いて。
松之助を、引き寄せる。
抱きすくめた首筋に、顔を埋めながら。
耳元、低く、囁き落とす。
「これからは、決して隠し事をしないで」
耳朶を擽る吐息に、松之助は小さく、身を震わせながら。
それでもはっきりと、頷いてくれた。
「林太郎さんには、…あんな風に言ったけど…」
ぽつり、零す。
己が吐いた言葉を思い出しただけで、つきり、胸が痛んだ。
「私がもっと丈夫な身体でさえ居たら、兄さんをもっと早く、見つけることが出来たのにね」
「そんなこと…!」
驚いた様に目を見開いて。
そんなことは無いと、松之助は言うけれど。
林太郎に投げた言葉は、同時に、己の胸も、刺していた。
苦く、笑う一太郎を、松之助はきゅっと、抱きすくめて。
震える声音で、言葉を紡ぐ。
「そんなこと、言わないでおくれよ。…あたしは、一太郎に逢えて、救われた。こんな風に、幸福な心地を教えてくれたのは、一太郎なんだよ?」
その言葉に、呼び名に。
ほんの少し、胸の不安が、和らぐ気がして。
一太郎は小さく、息を吐く。
その顔にようやっと、少し、笑みが戻った。
「ねえ、兄さん」
「うん?」
思い出すのは、林太郎に向けた、ひどく優しげな兄の眼差し。
浮かべるのは、揶揄するような、笑み。
「私と林太郎さん、どちらが大事?」
「そんなこと…!」
比べられるわけが無いのは、良く承知している。
ただ少し、あの瞬間、確かに交された兄弟の情に、妬ける様な心地がしたのだ。
「だって、私のことはいつまでたっても、皆の前では『若だんな』じゃない」
態と、少し拗ねたように。
上目越しに覗き込めば、松之助の目元に、朱が走る。
困ったように、眉尻を下げて。
見あげてくる眼に、浮かべるのは、少し意地の悪い笑み。
「ね?どっち?」
「………っり、林太郎は、弟で…」
「うん」
「い、ちたろうは…弟で…それから…」
「それから?」
覗きこんだ顔は、今にも泣き出してしまいそうで。
耳まで赤くするその様に、つい、笑みが零れる。
「い、愛しいと、思う、から…だから…全然、違うから、…」
比べられないと、ひどく小さな声で、告げられて。
胸に満ちるのは、ただ、愛しいという喜び。
「好きだよ兄さん」
口付ければ、それはひどく、優しい味がした。